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わかいむすめのりんり

若い娘の倫理

宮本 百合子

「婦人公論」1940(昭和15)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,181 字 · 18 页

青空文庫

話題、その喋りかたさえ気がおける。

たとえ娘の室は立派に独立していたとして、余程鈍感な娘さんならともかく、さもなければ、やはり、友達のものではない周囲の支配的な雰囲気に対して、居馴染みかねるものがある。お嬢さんをきらい娘という呼びかたをこのむ心理はここにもお互に作用している。

そういううるささをさけて、じゃ、いっそどこそこで落合いましょうよ、ということになって、種々雑多な彼女たちが街頭に溢れて来る次第なのだ。

みじめっぽく小さい同胞たちがごたついている小さい貧相なわが家なんかを友達に見せたくない職場の娘さんたちは、いろいろうるさい家のそとで友達と会っている他の社会層の娘さんたちと、椅子をぶっつけ合いつつ、おしる粉をのみつつ、暫くの気焔を愉しむことになる。

自分の現実をそれなりに承認したくない心持、何かそこから自分としての生活をもって行きたい心持というものは、今日夥しい産業部門に働いている何十万という若い娘さんの心理に、やはり執拗に生きつづけている欲望だと思う。今日の現実は、彼女たちにも職業についているそのことが幸福だと直接に感じられる場合は極めてすくないにちがいない。