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わかいふじんのちょしょふたつ

若い婦人の著書二つ

宮本 百合子

「新女苑」1940(昭和15)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,582 字 · 11 页

青空文庫

大迫さんも到頭こんな本を書いた。その気持には、あら大迫さんが? という意外さはなくて、どこかで漠然と予期されていたことが実現したような興味であった。つまり大迫さんという娘さんは、こまかい顔だちなどは忘れてしまっている私にさえ、本を書いたことがふさわしく思える一種の印象を残しているような人柄だったのだと思う。

『娘時代』は、随筆風に、現代の娘の心持をある意味では主張し、ある点では反省し、またある箇所では諷刺している気の利いた、才の漲った著書である。娘さんが娘時代をかいている。そこに、高見順氏が序文でいっているように捉え難い今日の若い女性の心理を、典型的な今日の若い女性が自己告白の文章によって描き出したという興味と意味とがおかれている。若い同性の読者たちは、この本のなかに自分たちの気分や気持がそのまま語られていることに多大の共鳴を見出すだろうし、青年たちも公然とあるいはこっそりとこの本を読むだろう。

大迫さんの才気のある筆は、明快にときに皮肉に娘さん心理のいろいろな面を描き出しているのだけれど、私はひそかな疑問を感じた。娘さんたちはこの本をよんで、いろいろな点全くだわと共感しつつ同時に何となく物足りない底の足りないような感じを心のどこかに覚えるのではないだろうか。