轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちゃがゆのき

茶粥の記

矢田 津世子

「改造」1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,568 字 · 30 页

青空文庫

シュンですな。せんだって松島牡蠣を土産に貰いましてね、どて焼にして食べましたよ……」

誰かのこんな話がきっかけになって、良人の食通ぶりが発揮される。

「牡蠣は何んといっても鳥取の夏牡蠣ですがね。こっちでは夏は禁物にされているが、どうしてどうして鳥取の夏牡蠣ときちゃあ堪らない。シマ牡蠣ともいいますがね、ごく深い海の底の岩にくっ着いている。海女が獲ってきたやつをその場で金槌を振るって殻をわずか叩き割り、刃物を入れて身を出すんだが、こいつが凄く大きい。そうですね、この手のひらぐらいは十分にありますよ。身が大きく厚いところへもってきて実は色艶がいい。こいつの黒いヘラヘラを取ってね、塩水でよく洗って酢でガブリとやるんです。旨い。実に旨い。一と口で? いやあ、とても一と口でなんか食えやしませんよ……」

身を入れて話すと良人の口調には知らずしらずに国訛りがまじる。

「鮑ですか? 近海ものは御免ですね。まあ沼津あたりのだったら、どうやら我慢もできるですが……、といって、これが沼津で食ったんじゃ味がない。樽に塩漬したのを馬の背に積んで甲府まで運ぶんですよ。富士の裾野をジャンガゴンガ揺られて甲州入りだ。