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くさをわけて
草を分けて
小川 未明
「せうがく三年生 13巻3号」1936(昭和11)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,772 字 · 6 页
そして、じっとそこにうずくまって、
「僕も、お仲間に入れてくれない?」と、いいますと、蛾は相談をしにいくのか、ちらちらと飛んで、あっちのしげみに入ってゆきました。すると、おはぐろとんぼも、あわてて逃げ出しそうにしましたから、
「僕は、生まれたばかりの、君なんかつかまえはしないよ。」と、辰夫くんは、おはぐろとんぼを呼びとめました。
おはぐろとんぼは、はじめて安心したように、大きな目をくるくるさせて、
「いま、蛾さんが帰ってきますから、すこしお待ちください。」と、いって、自分は、大きな葉の蔭に姿を隠してしまいました。
たぶん、蛾がいって相談したのでありましょう。ジイー、ジイーといって、すぐ近くで、はるぜみの鳴く声がしました。
「いいなあ、僕こんなところに、いつまでもじっとしていたいな。」と、辰夫くんは、思いました。そして、もう、ボールなど探しに入って、この小さいお友だちを驚かしたりしたくはなかったのです。
このとき、兄の政二くんのかけてくる足音がして、
「辰夫、まだ見つからない?」と、いいましたので、辰夫くんは、
「見つからないよ。」と答えました。
「おかしいな。