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こうやのふゆ
荒野の冬
中谷 宇吉郎
「短歌研究」1940(昭和15)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,098 字 · 9 页
そしたら友人が大変驚いて、北海道というところが、そんなに広いところとは知らなかったと言っていた。「日本の地図では、いつも北海道を切り離して、尺度を小さくして別に描いてあるので、いつの間にか皆に北海道を小さく思わせているのでしょう」と話したら、なる程そうかもしれないと、友人も同意した。
こういう北海道では、従って村という概念がまるでちがっているのである。一つの村というのに、詳しい数字は忘れたが、何でも神奈川県くらいの大きさのものが珍しくない。そしてその村の土地の大部分は、原生林や荒蕪地になっていて、ところどころに小さい部落がある程度のものが多い。その部落のうちで、要衝に当った所が、村役場だの、小学校だの、いろいろな店屋などがある場所で、これは市街地と呼ばれている。
ところで、最近または現在、大規模に入植しつつある原野、たとえば、釧路や根室の原野などのことは私は知らない。普通では耐えられない悲惨な生活だという噂もあるし、更生の意気に燃えて北辺開拓の鋤をふるっているという話もある。見る人々の心持のちがいであろう。
私が冬になるとよく訪れるのは、それ等の土地よりも、もう少し旧く開けた場所で、十勝とか、広尾とかいうところである。