轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しょうたく
荷風随筆集(下)〔全2冊〕
永井 荷風
永井荷風『荷風随筆集(下)〔全2冊〕』。同一底本的分册已合并为一书。收入:妾宅、十九の秋、十六、七のころ、十日の菊、雪の日。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,633 字 · 74 页
女の嫌いな人に強て女の美を説き教える必要はない。酒に害あるはいわずと知れた話である。然もその害毒を恐れざる多少の覚悟と勇気とがあって、初めて酒の徳を知り得るのである。伝聞く北米合衆国においては亜米利加印甸人に対して絶対に火酒を売る事を禁ずるは、印甸人の一度酔えば忽ち狂暴なる野獣と変ずるがためである。印甸人の神経は浅酌微酔の文明的訓練なきがためである。修養されたる感覚の快楽を知らざる原始的健全なる某帝国の社会においては、婦人の裸体画を以て直に国民の風俗を壊乱するものと認めた。南阿弗利加の黒奴は獣の如く口を開いて哄笑する事を知っているが、声もなく言葉にも出さぬ美しい微笑によって、いうにいわれぬ複雑な内心の感情を表白する術を知らないそうである。健全なる某帝国の法律が恋愛と婦人に関する一切の芸術をポルノグラフィイと見なすのも思えば無理もない次第である――議論が思わず岐路へそれた――妾宅の主人たる珍々先生はかくの如くに社会の輿論の極端にも厳格枯淡偏狭単一なるに反して、これはまた極端に、凡そ売色という一切の行動には何ともいえない悲壮の神秘が潜んでいると断言しているのである。