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あおじろいつき

蒼白い月

徳田 秋声

「サンエス」1920(大正9)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,440 字 · 19 页

青空文庫

「せめて須磨明石まで行ってみるかな」私は呟いた。

「は、叔父さんがお仕事がおすみでしたら……」桂三郎は応えた。

私たちは月見草などの蓬々と浜風に吹かれている砂丘から砂丘を越えて、帰路についた。六甲の山が、青く目の前に聳えていた。

雪江との約束を果たすべく、私は一日須磨明石の方へ遊びにいった。もちろんこの辺の名所にはすべて厭な臭味がついているようで、それ以上見たいとは思わなかったし、妻や子供たちの病後も気にかかっていたので、帰りが急がれてはいたが……。

で、わたしは気忙しい思いで、朝早く停留所へ行った。

その日も桂三郎は大阪の方へ出勤するはずであったが、私は彼をも誘った。

「二人いっしょでなくちゃ困るぜ。桂さんもぜひおいで」私は言った。

「じゃ私も行きます」桂三郎も素直に応じた。

「だが会社の方へ悪いようだったら」

「それは叔父さん、いいんです」

私は支度を急がせた。

雪江は鏡台に向かって顔を作っていたが、やがて派手な晴衣を引っぴろげたまま、隣の家へ留守を頼みに行ったりした。ちょうど女中が見つかったところだったが、まだ来ていなかった。

「叔父さんのお蔭で、二人いっしょに遊びに出られますのえ。