轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あおじろいつき
蒼白い月
徳田 秋声
「サンエス」1920(大正9)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,440 字 · 19 页
「彼らは彼らで、大きくなったら好きなところへ行くだろうよ」
「それあそうや。私も東京へ一度行きます」
私たちはちょっとのことで、気分のまるで変わった電車のなかに並んで腰かけた。播州人らしい乗客の顔を、私は眺めまわしていた。でも言葉は大阪と少しも変わりはなかった。山がだんだんなだらかになって、退屈そうな野や町が、私たちの目に懈く映った。といってどこに南国らしい森の鬱茂も平野の展開も見られなかった。すべてがだらけきっているように見えた。私はこれらの自然から産みだされる人間や文化にさえ、疑いを抱かずにはいられないような気がした。温室に咲いた花のような美しさと脆さとをもっているのは彼らではないかと思われた。
私たちは間もなく須磨の浜辺へおり立っていた。
「この辺は私もじつはあまり案内者の資格がないようです」桂三郎はそんなことを言いながら、渚の方へ歩いていった。
美しい砂浜には、玉のような石が敷かれてあった。水がびちょびちょと、それらの小石や砂を洗っていた。青い羅衣をきたような淡路島が、間近に見えた。
「綺麗ですね」などと桂三郎は讃美の声をたてた。
「けどここはまだそんなに綺麗じゃないですよ。