轻松读懂日语经典作品
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
「大阪毎日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月17日<br>「東京日日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,066 字 · 216 页
………」
要はとうとうアラビアン・ナイトを思い切って、やっとソファから身を起した。
「しかし、………僕は直接知らんのだからどうとも云えないが、………そんなことを云う男は不愉快だな。見ように依っては随分悪く取れなくもない」
「けども君、悪い奴なら女の機嫌を取るようなことを云うだろうが、それをそう云わないところに正直さがありはしないか」
「僕はそう云う正直は嫌いだ。正直じゃあない、不真面目なんだ」
「君の性質ではそうだろう。しかしどんなに思い合った仲だっていつかは飽きる時が来る。永久に同じ愛情で通そうと云うのは無理なんだから、約束出来ないと云うのにも理窟はあるよ。僕が阿曽でもやっぱりそう云うかも知れんね」
「それじゃ飽きたらば又別れるでいいのかい?」
「飽きると云うことと、別れると云うこととは別さ。飽きたからって、又おのずから恋愛ではない夫婦の情愛が生ずると思う。大概の夫婦はそれでつながっているんじゃないか」
「阿曽と云う男が立派な人間でありさえすればそれでよかろう。けども飽きたからと云って放り出されたらどうなるんだ。そこの保証が附いていないんじゃあんまり心細いじゃないか」