轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
「大阪毎日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月17日<br>「東京日日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,066 字 · 216 页
と念を押したが、その相談の結果として阿曽は成るべく要の家庭へは姿を見せないようになり、美佐子の方から「須磨へ行く」ことになったのであった。
その時以来要は二人の関係に文字通り「眼をつぶって」しまった。もうこれでいい、このままじっとしていれば自分の運命はひとりでにきまる。―――彼は流れに身をまかせて、事の成り行きが運んでくれるところまで、素直に、盲目に、くッついて行くように努める以外に、自分の意志を働かせようとしなかった。ただそうなってもなお恐ろしいのは試験時代の期間が過ぎて、いよいよと云う最後の時が迫りつつあることだった。いかになだらかに、ずるずるべったりに押し流されて行こうとしても、一度は別離の場面を廻避することは出来ない。見わたしたところ穏かなような船路にも、或る一箇所で暴風帯をくぐらなければならないのである。そこへ来た時は潰っている眼をどうしても開けさせられるのである。そう云う予感は臆病な彼をますます一時逃れにさせ、やりっ放しにさせ、横着にさせる結果となった。
「君は一方では別れるのが辛い辛いと云う、そして一方ではそんな無責任なことをしている、それじゃあだらしがなさ過ぎるな」