轻松读懂日语经典作品
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
「大阪毎日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月17日<br>「東京日日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,066 字 · 216 页
………」
「なあに、そんなことは何でもない。それよりあなたこそ体を大事にしなければいけないよ、一人の弟が死んだからと云って自分も病気になっていい訳はないんだから。………」
相手が日本の女だったらこんな歯の浮くような言葉が口から出る筈はないと思うと、要は我ながら馬鹿々々しくもあり耻かしくもあった。一体どうしたと云うのかしら? ルイズのことばかり考えて来たのに不意を打たれたせいかしらん? それとも陽気の加減かしらん? 自分は嘗て今の言葉の半分もの優しさのある日本語で、妻をでも亡くなった母親をでもいたわったことはなかったのに、英語と云うものは悲しい国語なのかしらん?………
「何をしてたの、マダムにつかまってたんじゃないの?」
と、二階へ上るとルイズが云った。
「うん、弱ったよどうも。………僕はああ云うしめっぽい話は嫌いなんだが、泣かれてみると逃げようにも逃げられないで、………」
「ふ、ふ、大方そんなことだろうと思ってたのよ。来る人来る人をつかまえて一ぺんは泣かないと済まないんだから」
「それでもまさか、泣くのはうそじゃないんだろうな」
「そりゃあ弟が死んだんだから、悲しいのは悲しいでしょう。