轻松读懂日语经典作品
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
「大阪毎日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月17日<br>「東京日日新聞 夕刊」1928(昭和3)年12月3日~1929(昭和4)6月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,066 字 · 216 页
その三
、青春を生きようためではないのか、今の自分は妻への意地でも年を取ってはならない場合だ、と云う気持と。―――
その三
「ゆうべはわざわざ電話を戴きまして有り難う存じました。………」
幕あいになるとぐるりと此方へ向きを変えた老人に、要は改めて挨拶しながら、
「お蔭さまで今日はまことに面白うございます。全くお世辞でなく、いい所がありますな」
「私が人形使いじゃあないからお世辞を云われる事はないがね」
と、老人は女物の古裂で作った色のさめたお納戸縮緬の襟巻の中へ寒そうに首をちぢめて、やに下った形で云った。
「まあ、あなたがたを誘ってもどうせ退屈だろうけれど、しかし一遍は見て置くといいと思ったんで、………」
「いいえ、なかなか面白いですよ、この前見た時とはまるで感じが違うんで、非常に思いの外なんです」
「もうお前さん、今あの治兵衛だの小春だのを使った大頭株の人形使いがいなくなったら、どうなるか分りゃしないんだから、………」
美佐子はそろそろお談義が初まったと云うように下唇で薄笑いを噛みしめながら、てのひらの間にコムパクトを隠してパッフで鼻をたたいていた。
「こう入りがないのは気の毒なようですが、日曜や土曜にはまさかこんなでもないんでしょうか」