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しょうしょうじゅうさんねん

蕭々十三年

山本 周五郎

「新国民」1942(昭和17)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,105 字 · 16 页

青空文庫

三

三

それから間もなく天野半九郎はとつぜん役目を解かれた。

「思し召するところあってお役御免、当分のあいだ無役に仰せつけらる、さよう心得るよう」

そういう達しを受けて半九郎はびっくりした、まったく寝耳に水であった。

「申上げます」彼は作法も忘れて膝をのりだした、「お役御免とはいかなる仔細でございましょうか、わたくし過失を仕りましたなればお詫びを申上げます、恐れながら御意のほどを」「仔細に就いてはなんのお沙汰もない」老職は本当になにも知らないようすだった、「ただお上の御意によるお達しだ、過失があったと思うなら暫く慎んでいたらよかろう、そのうちにはまた復役の折もあるであろうから」

「まことに、無礼なお願いではございますが、いちどだけお目通りおゆるしが願えませんでしょうか、わたくし心得と致しまして、お役御免の御趣意をぜひ申し聞かせて頂きたく存じまするが」

「それはお上におうかがい申してみよう、おゆるしなれば申し遣わす」

「なにとぞおゆるしの出ますよう、枉げて御配慮お願い申します」

半九郎は、くれぐれもたのんで下城した。

なんのための役目御免か、彼にはまるで見当がつかなかった。