轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふじだなのかげから
藤棚の陰から
寺田 寅彦
「中央公論」1934(昭和9)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,285 字 · 17 页
しかしそういうめったに起こりそうもないことが実際に起こることがあるというのが、確率論のまさしく教えるところである。してみるとこれは不思議でもなんでもないとも言われる。しかしまた、それだから不思議だとも言われる。要は不思議という言葉の定義次第である。
十三
「陸の竜宮」と呼ばれる日本劇場が経営困難で閉鎖されるということが新聞で報ぜられた。翌日この劇場前を通ったら、なるほど、すべての入り口が閉鎖され平生のにぎやかな粧飾が全部取り払われて、そうして中央の入り口の前に「場内改築並びに整理のために臨時休業」という立て札が立っている。
近傍一帯が急にさびれて見えた。隣の東京朝日新聞社の建物がなんだかさびしそうな顔をして立っているように思われるのであった。
建物にもやっぱり顔があるのである。
十四
マルキシズムの立場から科学を論じ、科学者の任務に対していろいろな注文をつける人がある。その人たちとしては一応もっともな議論ではあろうが、ただの科学者から見るとごくごく狭い自分勝手な視角から見た管見的科学論としか思われない。
科学者の科学研究欲には理屈を超越した本能的なものがあるように自分には思われる。