轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あしかり

蘆刈

谷崎 潤一郎

「改造」改造社、1932(昭和7)年11月号、12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,413 字 · 78 页

青空文庫

橋本の町から船がその洲へ漕ぎ寄せる、と、客は船を乗り捨てて、洲を横ぎって、こちら側の船の着いている汀まで歩いて来る。思えば久しく渡しぶねというものに乗ったことはなかったが子供の時分におぼえのある山谷、竹屋、二子、矢口などの渡しにくらべてもここのは洲を挟んでいるだけに一層優長なおもむきがあっていまどき京と大阪のあいだにこんな古風な交通機関の残っていたことが意外でもあり、とんだ拾いものをしたような気がするのであった。

前に挙げた淀川両岸の絵本に出ている橋本の図を見ると月が男山のうしろの空にかかっていてをとこやま峰さしのぼる月かげにあらはれわたるよどの川舟という景樹の歌と、新月やいつをむかしの男山という其角の句とが添えてある。わたしの乗った船が洲に漕ぎ寄せたとき男山はあだかもその絵にあるようにまんまるな月を背中にして鬱蒼とした木々の繁みがびろうどのようなつやを含み、まだ何処やらに夕ばえの色が残っている中空に暗く濃く黒ずみわたっていた。わたしは、さあこちらの船へ乗って下さいと洲のもう一方の岸で船頭が招いているのを、いや、いずれあとで乗せてもらうがしばらく此処で川風に吹かれて行きたいからとそういい捨てると露にしめった