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きょこうのはる

虚構の春

太宰 治

「文学界」1936(昭和11)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,586 字 · 108 页

青空文庫

ほのかにもあわれなる真実の蛍光を発するを喜びます。恐らく真実というものは、こういう風にしか語れないものでしょうからね。病床の作者の自愛を祈るあまり慵斎主人、特に一書を呈す。何とぞおとりつぎ下さい。十日深夜、否、十一日朝、午前二時頃なるべし。深沼太郎。吉田潔様硯北。」

「どうだい。これなら信用するだろう。いま大わらわでお礼状を書いている始末だ。太陽の裏には月ありで、君からもお礼状を出して置いて下さい。吉田潔。幸福な病人へ。」

「謹啓。御多忙中を大変恐縮に存じますが、本紙新年号文芸面のために左の玉稿たまわりたく、よろしくお願いいたします。一、先輩への手紙。二、三枚半。三、一枚二円余。四、今月十五日。なお御面倒でしょうが、同封のハガキで御都合折り返しお知らせ下さいますようお願いいたします。東京市麹町区内幸町武蔵野新聞社文芸部、長沢伝六。太宰治様侍史。」

月日。

「おハガキありがとう。元旦号には是非お願いいたします。おひまがありましたら十枚以上を書いていただきたい。(一行あき。)小泉君と先般逢ったが、相変らず元気、あの男の野性的親愛は、実に暖くて良い。あの男をもっと偉くしたい。