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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

两个男人去登比叡山,一个像方形石头,一个像细长竹竿,一路斗嘴。可山没变,他们心里的那点事却慢慢浮出来了。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 198,559 字 · 401 页

青空文庫

杖のあとに動くものは足である。この相図をちらりと見て取った小野さんはもう駄目だ、よそうと咽喉の奥でせっかくの計画をほごしてしまう。爪の垢ほど先を制せられても、取り返しをつけようと意思を働かせない人は、教育の力では翻えす事の出来ぬ宿命論者である。

「まあ行きたまえ」とまた甲野さんが云う。催促されるような気持がする。運命が左へと指図をしたらしく感じた時、後から押すものがあれば、すぐ前へ出る。

「じゃあ……」と小野さんは帽子をとる。

「そうか、じゃあ失敬」と細い杖は空間を二尺ばかり小野さんから遠退いた。一歩門へ近寄った小野さんの靴は同時に一歩杖に牽かれて故へ帰る。運命は無限の空間に甲野さんの杖と小野さんの足を置いて、一尺の間隔を争わしている。この杖とこの靴は人格である。我らの魂は時あって靴の踵に宿り、時あって杖の先に潜む。魂を描く事を知らぬ小説家は杖と靴とを描く。

一歩の空間を行き尽した靴は、光る頭を回らして、棄身に細い体を大地に托した杖に問いかけた。

「藤尾さんも、昨夕いっしょに行ったのかい」

棒のごとく真直に立ち上がった杖は答える。

「ああ、藤尾も行った。――ことに因ると今日は下読が出来ていないかも知れない」