轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぐびじんそう
虞美人草
两个男人去登比叡山,一个像方形石头,一个像细长竹竿,一路斗嘴。可山没变,他们心里的那点事却慢慢浮出来了。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 198,559 字 · 401 页
往来をわずかに仕切る格子戸をそろりと明けると、なかは、ほのくらく近づく宵を、一段と刻んで下へ降りたような心持がする。
「御免」と云う。
静かな声は落ついた春の調子を乱さぬほどに穏である。幅一尺の揚板に、菱形の黒い穴が、椽の下へ抜けているのを眺めながら取次をおとなしく待つ。返事はやがてした。うんと云うのか、ああと云うのかはいと云うのか、さらに要領を得ぬ声である。小野さんはやはり菱形の黒い穴を覗きながら取次を待っている。やがて障子の向でずしんと誰か跳ね起きた様子である。怪しい普請と見えて根太の鳴る音が手に取るように聞える。例の壁紙模様の襖が開く。二畳の玄関へ出て来たなと思う間もなく、薄暗い障子の影に、肉の落ちた孤堂先生の顔が髯もろともに現われた。
平生からあまり丈夫には見えない。骨が細く、躯が細く、顔はことさら細く出来上ったうえに、取る年は争われぬ雨と風と苦労とを吹きつけて、辛い浮世に、辛くも取り留めた心さえ細くなるばかりである。今日は一層顔色が悪い。得意の髯さえも尋常には見えぬ。黒い隙間を白いのが埋めて、白い隙間を風が通る。
古の人は顎の下まで影が薄い。