轻松读懂日语经典作品
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ちょうのえ
蝶の絵
久生 十蘭
「週刊朝日別冊 記録文学特集号」1949(昭和24)年9月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,644 字 · 49 页
一日に何度も手を洗ったり、入浴したり、むやみに洗濯をしたりするのは、なにか罪感があって、罪の穢れを洗い潔めたいという、願望の無意識のあらわれだというくらいのことは、精神分析の通俗書を読んだものは、誰でも知っている。
「常態じゃないね。なにかほかに、へんなことはないの」
「ただ、なんでも汚いの。この間などは、常さんがちょっと足に触ったら、すうっと立って行って、お風呂場で足を洗っていたって……帰った日なんかは、着てきたものをそっくり庭先で脱いで、丸裸になって、水撒きのホースで、女中に一時間も身体に水をかけさせて、手帳のようなものまで、いちいち石油をかけて焼いて、それから、やっとこさで、家に入ったわ」
俯向いて、頬を撫でながら、なにか考えていたが、
「ちょっと、いらして」
というと、玄関わきの広い階段をあがって、花世の寝室へ連れこんだ。
「ごらんになってちょうだい、寝台の下を」
のぞいてみると、ブゥルボン・ウイスキーや、ギルビィのジンや、サントリイの空瓶が、よくまぁ飲んだものだと呆れるほど、ごったに押しこんである。
「あたしたちには、気ぶりもみせずに、こんなことをしているんです。