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かにこうせん

蟹工船

小林 多喜二

「戦旗」1929(昭和4)年5月、6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,890 字 · 125 页

青空文庫

と三つ位に響きかえって行く。

そこへ二人が降りて行った。二人だということが分ると、

「間違ったんでねえか、道を」と、一人が大声をたてた。

「ストライキやったんだ」

「ストキがどうしたって?」

「ストキでねえ、ストライキだ」

「やったか!」

「そうか。このまま、どんどん火でもブッ燃いて、函館さ帰ったらどうだ。面白いど」

吃りは「しめた!」と思った。

「んで、皆勢揃えしたところで、畜生等にねじ込もうッて云うんだ」

「やれ、やれ!」

「やれやれじゃねえ。やろう、やろうだ」

学生が口を入れた。

「んか、んか、これア悪かった。――やろうやろう!」火夫が石炭の灰で白くなっている頭をかいた。

皆笑った。

「お前達の方、お前達ですっかり一纏めにして貰いたいんだ」

「ん、分った。大丈夫だ。何時でも一つ位え、ブンなぐってやりてえと思ってる連中ばかりだから」

――火夫の方はそれでよかった。

雑夫達は全部漁夫のところに連れ込まれた。一時間程するうちに、火夫と水夫も加わってきた。皆甲板に集った。「要求事項」は、吃り、学生、芝浦、威張んなが集ってきめた。それを皆の面前で、彼等につきつけることにした。