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かにこうせん

蟹工船

小林 多喜二

「戦旗」1929(昭和4)年5月、6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,890 字 · 125 页

青空文庫

(首を締める恰好をする)金持だんだん大きくなる。(腹のふくれる真似)貴方方どうしても駄目、貧乏人になる。――分る? ――日本の国、駄目。働く人、これ(顔をしかめて、病人のような恰好)働かない人、これ。えへん、えへん。(偉張って歩いてみせる)」

それ等が若い漁夫には面白かった。「そうだ、そうだ!」と云って、笑い出した。

「働く人、これ。働かない人、これ。(前のを繰り返して)そんなの駄目。――働く人、これ。(今度は逆に、胸を張って偉張ってみせる、)働かない人、これ。(年取った乞食のような恰好)これ良ろし。――分かる? ロシアの国、この国。働く人ばかり。働く人ばかり、これ。(偉張る)ロシア、働かない人いない。ずるい人いない。人の首しめる人いない。――分る? ロシアちっとも恐ろしくない国。みんな、みんなウソばかり云って歩く」

彼等は漠然と、これが「恐ろしい」「赤化」というものではないだろうか、と考えた。が、それが「赤化」なら、馬鹿に「当り前」のことであるような気が一方していた。然し何よりグイ、グイと引きつけられて行った。

「分る、本当、分る!」

ロシア人同志が二、三人ガヤガヤ何かしゃべり出した。