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ちぬられたかいとう

血ぬられた懐刀

国枝 史郎

「講談倶楽部」1928(昭和3)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,586 字 · 71 页

青空文庫

勝敗の数は知れて居る。聚楽第は亡ぼされて、秀次公には自害されよう。従って俺も腹を切る。お前の後を追うことになる……がもしお前の企が、成功をした場合には、天下はそれこそ聚楽第の、秀次公のものとなる。で今度の企はのるかそるかの企なのだ。するとお前は云うかもしれない、そういう危険な企を、どういう理由でやるのか? と、で、俺は答えることにしよう。どうやら我君秀次公には、幸蔵主の甘言に乗せられて、太閤との不和をなだめるために、伏見の城へ出かけて行かれて、太閤のご機嫌を取られるらしい。その結果はどうなるか? お前の云った通りになる。伏見城で詰腹を切らせられるか、ないしは途中で殺されるだろう。……それが俺には残念なのだ、同じくその身を失うにしても、太閤ほどの人傑を、向こうへ廻して戦って、華々しくご最後を遂げさせたいのだ。……で、道は二つしかない。太閤を守備よく弑するか、そうでなかったら戦うかだ。で、お前に俺は頼む。もう一度伏見城へ忍んでくれ、太閤の寝首を掻いてくれ、やりそこなったら死んでくれ!」

「わかった」と云うと五右衛門は、縁からユラリと腰を上げた。

「末代までも名が残ろうよ。