轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

「冨士」講談社 1939(昭和14)年9月~12月中絶、「血煙天明陣」桃源社 1970(昭和45)年に付載して完結公刊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,970 字 · 176 页

青空文庫

と栞は云って、膝の上で、長い袖を弄んだ。紅色の勝った、友禅模様の袖は、いろいろの落花の積み重ねのように見え、それを弄んでいる娘の、白い、細い、柔らかい指は、その花の積み重ねを、出たりはいったりする、蚕かのように見えた。

「家とは?」

「紙帳のことですの」

「ははあ」

と云ったが、左門は、(いいことを云ってくれた)と思った。(紙帳こそ、俺の家であり巣なのだからなあ)

また左門はいい気持ちになった。そこで膝を崩し、手を懐中へ入れ、ノンビリとした姿勢となった。

「紙帳といえば、妾がお釣りしたのでございますの」

栞は云いつづけた。

「妾、林を散歩して、ここまで参りましたところ、紙帳が落ちていたではございませんか……最初は、本当は、気味悪かったのでございますのよ。……でも、見ているうちに、釣りたくなりましたので、釣りましたところ、今度は、はいってみたくなりました。……はいりましたところ眠くなりました。そこで妾、眠ったのでございますわ……」

「ははあ」と左門は云ったが、さては紙帳は、あの夜、お浦によって、武蔵屋の庭から外へ運び出され、それから、何かの理由で――風にでも吹かれ、ないしは、お浦自身ここまで持って来て、棄てて立ち去ったのかもしれないと思った。