轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

「冨士」講談社 1939(昭和14)年9月~12月中絶、「血煙天明陣」桃源社 1970(昭和45)年に付載して完結公刊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,970 字 · 176 页

青空文庫

頼母は、そういう気味悪い沈黙の紙帳を前にして、石像のように立ち尽くしていた。構えている刀の切っ先が顫えているのは、彼の心が焦慮している証拠であった。

(何故沈黙っているのだろう? 何が行われているのだろう? ……栞はどうしているのだ? ……いや栞は何をされているのだろう?)

恋人の栞が、殺人鬼のような左門と、紙帳の中にいる。二人ながら黙っている。何をされているのだ? もしや咽喉でも絞められて? ……

これを思うと頼母の腸は掻きられるようであった。

必死のお浦

この時、遙かの林の奥から、喊声が聞こえて来た。五郎蔵たちの一団と、戸板を置き捨て、逃げて行った二人の乾児とが邂逅い、二人の乾児によって、頼母と、お浦と、典膳との居場所を知った五郎蔵たちの揚げた声であった。

「逃がすな!」「もう一息だ!」

二十数人の一団は、藪を廻り、木立ちを巡り、枯れ草を蹴開き、無二無三に走った。

「いたぞーッ」

という叫びをあげたのは、先頭切っていた五郎蔵であった。

「左門などには眼をくれるな! 頼母とお浦と典膳とを仕止めろ!」

こう五郎蔵が叫んだ時には、長脇差しを抜いていた。