轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こううんりゅうすい

行雲流水

坂口 安吾

「オール読物」1949(昭和24)年9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,645 字 · 22 页

青空文庫

これほどの娘とは知らなかったね」

和尚は骨壺を持ってきて、中を掻き廻して前歯をとりだした。

「これ、これ。ここに三十とあるだろう。拙僧は、奴め、口惜しまぎれにクビククリの寸前にアブリダシを前歯に仕掛けやがったなと睨んだが、漬物屋のオカミサンは、亡魂がこの地にとどまって、歯に文字を書いたというのだよ。あゝいうウスバカは執念深いから、死後にも何をやらかすか分らない。ワシはお経をケンヤクするから、奴め、なかなか浮かばれないな」

ソノ子は歯をとりあげて、見ていたが、怖れる様子は一向になかった。

「いゝわよ。憎んでやるから、覚えてるがいいわ。あんた一人じゃないわ。これから何人だって、こんなことになるでしょうよ」

ソノ子は大胆不敵なセセラ笑いをうかべて、前歯を骨壺の中へ捨てた。

「いゝ度胸だ。お前は好きな人がいるのかい」

「大きなお世話だわ」

「お世話でもあろうが、教えてもらいたいね。当世の女流はわけが分らないから、指南を仰ぎたいのだよ。ワシもダイコクを三人もとりかえたり、その又昔はコツやナカへ繁々と通ったものだが、当世の女流はわからん」

「私のお尻をぶちながら死ぬなんて、卑怯でしょう。