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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「先生は私のどこがお好きなの」
「今日のあなたは一流だよ」
「ヒョッと思いついただけよ」
せつ子は静かに唇をよせて、
「先生は一流ね。なんでも、ヘイチャラなのね。一流でなければダメだわ。青木さんなんか、ダメ」
「一流の人間は三流四流を好むものかも知れないよ」
「じゃア、私は四流のパンパンよ」
せつ子は長平のクビにまいた腕にグイと力をこめて、下へ倒れた。泣声をたてて、唇を押しあて、せつ子は理性を失った別人であった。唇をはなして、
「さっきの裸体は踊子よ。私の裸体は、もっとキレイ。もっとステキだわ」
情熱にふるえて、ウワゴトのようだった。
十一
長平の離京は一週間ほどのびた。せつ子に全集の発行を許すについて、他の出版社との行きがかりから、いろいろ雑用があったからである。
放二と記代子もせつ子の社で働くことに話がきまったが、ちょうど放二たちの社は経営難で、売れない雑誌を廃刊し、事業を縮小する必要にせまられていたから、この方は面倒がない。渡りに舟と編集長の穂積までせつ子の方へ譲り渡す始末であった。
いよいよ明日は離京という晩、長平がおそく宿へもどると、茶室に青木が待っていた。