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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

病気と闘っていることを、彼女たちに悟らせてはいけないのである。

最良の方法として選んだのは、ねる時間まで残業していることだった。仕事もたしかに忙しかったが、それを残業にのばしてやると、仕事を半ば休養に中和することもできるのである。

こまるのは、記代子と青木の誘いを拒絶しなければならないことだ。

せつ子は放二と記代子に、二人が当然結婚すべく定められているかのような言い方をした。それが記代子に現れる反応は敏速であったし、確信的であった。せつ子の認定を得ていることは、内々叫びをあげなければならないような馴れ馴れしい表現をしても、顔すらも赧らめさせない支えになるのであった。

しかし、放二が彼女の誘いに応じる度数は、三日に一度に、五日に一度になる。そして、青木は好二を誘うが、記代子はもう誘うこともやめてしまい、話しかけることも、なくなってしまった。

それでいいのだ、と放二は思うのである。病弱な自分は、結婚には不適な人間だ。相手を不幸にするだけだから。記代子が積極的になるほど、放二は身をひく。ぼくなんか、忘れて下さい。それを説明することはできるが、人生は説明では解決がつかない。