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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
青木がトイレットへ立つとき、記代子は部屋にいたのだから。記代子は追ってきたのだ。
青木が部屋へもどると、記代子の姿は見えなかった。
記代子が戻ってきた。
「ライターかして」
笑いながら、青木に云った。ライターをかりて、自分のデスクへもどり、タバコに火をつけた。イスにもたれて、タバコをふかしている。まもなく、むせびはじめた。タバコをすったことがないのである。苦笑して、火をもみつぶした。
「ハイ。あげましょう」
ピースの箱とライターを青木の方へ投げてよこした。
青木はかなり窮屈な思いにさせられた。記代子の言葉にこだわったのだ。そして、放二によけいなことを話しかけた。しかし、帰り仕度をするときには、放二を誘うことができなかった。
「ノドにつかえていたようね。放二さんを誘う言葉が」
記代子はあとでひやかした。
青木は浮いた気持にもなれなかった。のむビールのにがさが浸みるばかりである。
酔いがまわると、腹をすえて、
「記代子さんや。長平さんの姪御さんだけのことはあるよ。平凡なお嬢さんのような顔をして、頓狂なカラ騒ぎをやらかす人だ。しかし、とにかく、文学的でありすぎるよ。