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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
それでいいと思ってるのさ。色恋の世界には、先輩後輩はなさそうだ。子供はとつぜん大人になるし、大人になったときは、もう同列のものですよ。この道ばかりは、何十年かかったって、ムダはムダ、当人のことは当人だけしか分りゃしない」
「私はそれほど悟れないけど」
「それは、そうさ。ぼくは講壇派、ニセ達人だが、あなたは生活派の達人だ」
「私は常識的に考えているだけ。記代子さんが結婚前に子供を生むなんて、変だから。青木さんの子供なら、なお奇ッ怪でしょう。それだけのことなの。そうオセッカイでもないのよ。ただ目のふれるところで行われているから。目ざわりなのよ」
久しぶりの対面であったが、せつ子の心はこだわりなく打ちとけて、のびのびしていた。それが長平に快よかった。こんなにこだわりなく、のびのび打ちとけてみせることができるのは、とにかく、すぐれたことだ。肉慾にこだわりがなく、それを没したようなスガスガしさがあった。
「記代子の話は、もう、よそう」
長平は言った。百里離れて人の色恋を案じてみてもムダなことだ。
長平は珍しく眼前の事実に充足するよろこびを味っていた。
「今日は珍しく、たのしいよ。