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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「あの人、ここ、知らないわよ」
「ええ。以前いらしたダンスホールで、ここをおききしたのです」
キッピイは納得したようだった。記代子や克子にくらべれば大人びていたが、荒れ果てた感じの奥に、同じぐらいの幼いものは、まだ残っていた。
キッピイは心持、一歩、放二に近づいた。
「どこを、探しまわったの?」
放二に、ふと、疑いが閃いた。彼女は記代子の失踪を知っているのではないか、と。
「大庭さんの宿の方から、お友だちの名を四人おききして、きいて廻ったのですけど」
キッピイは、よそよそしく、
「私も知らないわ。それじゃア、四人とも、知らないのよ。たぶん、五人目をさがすといいわ」
そう呟いて、
「帰ってよ」
小犬を追い出すような、無情な様子で睨みつけた。
八
放二はアパートへ戻ってきても、まだ考えつづけていた。キッピイが記代子の行方を知っているのではあるまいか、と。
彼女の態度は、放二が記代子をさがしている理由について、あまり無関心でありすぎるように見うけられる。それは失踪という事実を知っているためのように思われた。
克子は放二の言葉を疑って、記代子の失踪をかぎあてたが、キッピイは放二の言葉を問題にしなかった。