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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「死にたいのはオレ自身じゃないのか」
もしそうだとすると、いよいよセンチで、助からない。彼は苦笑して、歩きだした。
記代子は、どこにいるか? それを解く鍵が一つある。金曜日に、記代子の姿を見た人を探すことだ。宿をでて電車にのったか、玉川上水の方へ歩いて行ったか、誰かが見ている筈である。しかし、その誰かを探す手段がわからない。
彼は記代子の宿を訪ねた。はじめての訪問だった。彼の名をきくと、主婦は身をかたくひきしめて、警戒の色をみせた。青木の癇にグッときたので、彼は苦笑して、
「わかっています。歓迎されないお客さんだということは、どこへ行っても、こうなんですよ。で、皆さんのお気持を尊重していたぶんには、出家遁世あるのみですから、時々こうして、歓迎せられざる訪問もしなければならないのですよ。まゝ外交員なみに、ちょッとの辛抱、おねがいしますよ」
青木はドッコイショとカマチに腰を下して、
「失礼します。これが外交員、イヤ、一般に歓迎せられざる客人の礼義でして、つまり、ここから上へはあがらない、即ち、歓迎せられざる身の程をわきまえています、という自粛自虚の表現なんですな」