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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

無関心なのはキッピイ一人であったが、彼女は他の誰に対しても、友情を示さなかった。そして一同から腫れ物にさわるような扱いをうけていた。

ルミ子はキッピイの人物にはなはだしく愛想をつかしてしまった。女の中で一番くだらぬタイプである。自分を一段偉い女だと思っているらしい。このへんで睨みのきくアンチャンがついているせいだ。お客に対しても傲慢だった。それもアンチャンのせいだ。

「ルミ子!」

とつぜんキッピイがよびつけた。店にお客がいなくなった時である。はなれたテーブルにいたルミ子は、アクビでもするように、

「なアにい?」

「ルミ子」

ここへ来い、という命令の意味はわかっていたが、ルミ子は顔だけうごかして、

「なんの用?」

キッピイがズカズカ歩いてきた。ルミ子は有がたくない御来意をさとって身をひこうとしたが、戦闘訓練には全然なれていなかったから、身をひくことを考えてだけいるうちに、十か十五、つづけざまにひッぱたかれた。ルミ子は腕力に自信がないから、腹も立たないタチで、痛さをのぞけば、蠅がとまったぐらいにしか考えていなかった。

六

ルミ子がボンヤリしていると、もう七ツ八ツ、おまけにひっぱたかれた。