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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
人間には、めいめいに、やむにやまれぬ悲しい立場があるのだから。
「どうしたら、エンゼルの住所がつきとめられるんだろうね」
カズ子が分別ぶって言った。ヤエ子は大根足の股をひろげて投げだして、ひっくりかえって、ウチワで胸をバタバタやりながら、
「ルミちゃん、ジュクでパンパンやるのさ。エンゼルの子分が遊びにくらア。そのうちに、なんとかなるよ」
「フン。それぐらいのことだったら、あんたで間に合うよ。やってきな」
カズ子にこう言われて、ヤエ子はプッとふきだした。
「まったくだ。エンゼルの子分と遊ぶぐらいだったらね。チェッ! つまらねえとこで、間に合いやがら」
エンゼルの住所を探すということは必ずしも彼の仕事の領分ではない。エンゼルのもとに居ると分れば、せつ子や長平や、又は、警察が探しだしてくれるだろう。
しかし、放二は、そうしたくなかった。記代子の過去も現在も、誰にも知らせたくなかったのである。
どうしても、彼自身の手で、記代子を元の位置へ置き戻さなければ、と、思った。
しかし、そのとき、ルミ子がこう言った。
「記代子さんを探しだしてあげるのが、その方に親切なことでしょうか?」