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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
努力も足らなかったと思います。ですが、今度は、約束を裏切るようなことは致しません。ここへ戻りたいと仰有るのに、先生方が戻さないと仰有ったら、命に賭けて、おつれ戻しいたします」
「命に賭けて、なんて、そんなに安ッぽく、生意気なことを言うから、人格ゼロなのよ。エンジェルは若い人がそんな軽薄なことを云うと、怒るわ。できもしないこと、言うな、ッて。千万人の若者が戦地で苦労してるとき、たった一人、戦争もできなかったあなたは、そのことだけでも人間失格よ。口はばったいこと、言えない義理よ」
記代子の言葉にこもっているのはエンゼル家の思想であった。それは記代子がエンゼル家に同化しつつあることを示していた。放二が捜査しはじめて、ちょうど一週間。彼女が失踪してたった十日間のうちに。
放二は感動した。
「ぼくの生涯は至らないことばかりです。目をすましても、いつも曇っていました。精いっぱいやって、それだけでした」
「そう。無能者。あなたはそれよ」
十三
記代子にくらべれば、自分の生涯などは、まったく無内容なものだったと放二は思った。
記代子は彼と語らっていたころは、彼に同化していたし、いわば彼を食事のように摂取していたと言えるかも知れない。