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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

花をつくるだけミソで、近代的にして、かつ退化していると判断すべきようであった。

長平はどこかの殿様家とちがって、話の正確な結論をたしかめないうちに、あわてて百両包みを河内山の袖の下へ突っこむようなことはできない。

「君の話は、長すぎる」

長平はエンゼルに教えてやった。

「京の隠居家ぼめが挨拶のツモリならよろしいが、前奏曲のツモリなら、ムダのムダ。それからの話の運び方も遠まわしで、もっと率直でないと近代人の感覚に合わないものだ。こっちはそうとは知らずにきいているから、君の結論をきくと、オヤオヤ、あれはみんなここへくるための道中か、ムダな道を曲りくねるものだと思って、いっぺんに興がさめてしもう。一秒ごとに興がさめるよ。顔を見るのも、話をきくのも、興ざめだ。寸刻といえども、同居に堪えないという気持になる」

長平はタバコに火をつけた。

「君も一本、吸いたまえ」

と、すすめると、エンゼルは憤然として、長平の手からタバコの箱をひッたくッて、テーブルへ叩きつけて、

「ヤイ。寸刻といえども同居に堪えがたいと言いながら、オレにタバコをすすめるとは、いい加減なことを言いやがるな。