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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「先生、童話すきですか」
「そう。すきだね」
ルミ子は、どうも困ったという顔をした。
「兄さんも好きなんです。読んでくれッておッしゃるのよ。でもね。読みつづけられなくなってね。時々ね、よむのを止してボンヤリしていることがあるのよ」
「なにを読んだね」
「風の又三郎。兄さんが、それを読んできかせてッて。童話ッて、みんな、あんなに悲しいの」
「そうかも知れない」
「変な悲しさですもの。いらだたしくなるのよ。あれじゃア、助からないわ」
「どんな風に、助からないのかね」
「ほんとに悲しいッてことは、あんなことじゃアないでしょう。私、悲しいときにはね、ウガイをしたり、手を洗ったり、そんなことをして、忘れちゃうのよ。無い時にお金のサイソクされたり、叱られたり、ね。それが悲しいことでしょう。童話と怪談は似ているわ。なんだか、ついて行かれない。いつまでも、からみついてるようで、女々しくッて、イヤなんです」
「子供の時のことを、思いだしたくないことが有るんじゃないのか」
「いゝえ。そうじゃないんです。ウガイをしたり、手を洗ったりして、忘れられないようなことは、私たちの生活にはないのです。