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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

叩ッ殺してやるから、笑ってみやがれ。オイ。笑えよ!」

「勝手におしよ」

一同はウンザリしてヤエ子を突き放した。部屋にいて喚きたてられては困るから、

「オフロへ行こうよ」

「そうしましょう」

と、一同は仕度をはじめる。ヤエ子は腕ぐみをしてジロリと一同を見上げて、

「フン。アタイにオフロ銭もないのが、うれしいのか。見せつけたいのかよ」

「うるさいね。オフロ銭ぐらい、だしてやるよ。いつだって、そうしてもらッてるじゃないか」

「いつも、そうで、わるかったな」

「だまって、ついてくるがいいや」

「バカヤロー。オフロ銭ぐらいで、大きなツラしやがるな」

一同はヤエ子にかまわず、オフロへでかけた。ヤエ子は目をなきはらして便所へとびこんだが、実は便所の窓から、道を行く彼女らの後姿をうかがっていた。

ルミ子が自分の部屋へもどって、オフロ道具をかかえて、彼女らを追うて去る姿を見ると、ヤエ子はようやくホッとした。彼女らの姿が見えなくなり、しばらくしても戻ってこないのを認めて、ヤエ子は便所をでた。そしてルミ子の部屋の戸をあけた。

「ルミちゃんの着代え、とりにきたのよ。オフロ屋の前のドブへはまっちゃッたのさ。