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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

第一、東京生活をきりあげて帰郷なさるのに、オミヤゲも買ってあげなければいけないでしょう。その機会がなければとにかく、機会があって、手ブラで帰せると思いますか」

一々もっともである。自分の家から失踪したまま京都へ戻ってしまうのを黙って見過すということは、後味の悪い話である。せつ子に、記代子の帰郷をひきとめる意志のないのが分っているから、青木は彼女の気持も尊重してやる必要があると思った。

「わかりました。おッしゃることは、ごもっともです。ですが、くれぐれも御手ヤワラカにねがいますよ」

記代子の宿へ案内した。二人をどんなふうにひきあわしたものかと青木が思案していると、せつ子は委細かまわずズカズカと先頭に部屋へ通って、

「アラ。記代子さん。御無事でよかったわ。京都へお帰りですッてね。ほんとに、それが何よりよ。何をプレゼントしましょうね。銀座の商店は、ちょッと開店に間があるから、デパートから廻りましょうよ」

デパートをまわり、銀座を廻り、出来合いではあるが最新型の高級服を買って、着代えさせる。帽子、靴、ハンドバッグに、その中の品々まで一式。トランクも買いこんで、身の廻りの品々。