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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

フランスの香水に至るまで。右往左往、ひきずりまわされる青木は、アア、大変な買物だ、この支払いだけでも、わが社の会計係は月末に一苦労だなア、桑原々々、とついて行く。

最後に二人を大阪行特急の二等車へ送りこんで、

「じゃア、お気をつけて。大庭先生によろしくね」

こうして二人は京都へたった。

「ねえ、記代子さん。彼女は敬服すべき手腕家だよ。しかし、金のかかる手腕だなア」

記代子もつりこまれてニッコリして、

「ほんとね。私のようなチンピラにまでこんなことして、叔父様なんかにはどんなプレゼントするのかしら」

「ナニ、長平さんにはお金いらずのプレゼントがあるのさ」

と青木が皮肉ると、

「ヤキモチヤキね」

横目で睨んだ。記代子のキゲンは直っていた。

九

青木は半日の汽車旅行で、女の一生ということを変にシミジミと考えさせられた。子供をもたない彼は、そういうことを身にしみて考えたことがなかったのである。

記代子の多難な経験は、彼女に多少の悪変化を与えたが、三文の得にもならなかったようである。目立った変化といえば、彼女は頑固になっていた。過去のアヤマチを後悔せず、むしろアヤマチとして見ていなかった。