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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
駈け歩いて疲れきった二人は、酒の酔いがよくまわって、舌のスベリがよかった。秋の夜寒であるのに、それが癖の青木はハンカチで鼻の頭やヒタイをこすッている。いつも真白のハンカチを身につけている筈であるのに、黒々と垢にまみれているのを見ると、葬儀屋の足労というものが甚大だったと知れるのである。
「御足労をかけてすまなかったが、一刻も早く手をうってもらわないと、行路病人の墓地へ埋められても気の毒だからさ。第一、それからじゃア、尚さら手間がかかるだろうよ。しかし、御両氏が死人と差しむかいの酒モリも、沈々、ちょッと見かけないオモムキだね。酒が、うまかろう」
「まずくはないがね。ところで、君が電話で云ってきたときは、この子の自殺が発見されて二三時間直後のことだそうだよ。遺書を電報で送ったわけじゃアあるまいな」
「速達だが」
長平はポケットからルミ子の遺書をとりだして示した。
「明日の朝にでも、読みたまえ。今夜は、ねむくなるまで、酒をのもうや」
「こんなものが、シラフで読めるかい」
青木は無造作に遺書をひらいて、
「しかし、心ききたることをするよ。遺書を速達で届けるなんてね。