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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「たぶん旅先からだろうと思います」
「あす、どこで会うの」
「ぼくの社へ来て下さるのです。いつとは云えないが、夕方までに必ず行くから、外出中は行先を書残して出るように、と。そんな文面からも、旅先からの便りのような気がします」
みんな放二のデマカセであったが、誰がこの高潔な、気品あふるる青年が嘘をつくと信じられよう。
ところが、青木は疑った。
「君はぼくを警戒してるね」
「なぜでしょうか」
「君はぼくの信じていたことを信じさせるように努力してるじゃないか。余はナレをスパイと見たり」
こう叫んで、カラカラ笑った。冷めたい汗がしたたるような蒼ざめた顔で。
「君は梶さんのチゴサンかい」
青木のカンは鋭い。
四
「じゃア、明日一日中、ぼくを君の社へ詰めさせてくれよ。梶さんの訪れを待つために」
「ええ。どうぞ」
梶せつ子は放二の社へは訪ねて来ない。別の所で会う約束だから、放二はこだわらなかった。
「それから、大庭君にも会わせてもらいたいのだ。是が非でも、たのむよ。拝みます。この通り」
「お気持はおつたえしますが、先生の御返事はぼくには分りかねます」
「大庭君はいつまで東京にいるの」