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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「あと三四日で、お帰りです」
「なア、北川さん。ぼくは、もう、今夜は君のソバから離れないぜ。君のうちへ泊めてくれたまえ。それがいけなかったら、ぼくの宿へ泊ってくれたまえ。もう、こうなったら、はなすものか。君こそは、わがイノチの綱ですよ。君またワレに憐れみを寄せたまえ」
青木は必死であった。
放二はうなずいて、
「ぼくのアパートでよろしかったら。おかまいはできませんが」
「ありがたい。実に、君は心のやさしい人ですよ。君の善良な魂すらも疑るような、ぼくの泥まみれの根性をあわれんでくれたまえ。ぼくは容赦なく君にあまえるよ。君あるによって今夕の勘定を救われ、君あるによって明日に希望を託し得。いつもギリギリの戦場、最後の線に立てられてさ。敗残兵の自覚がもてないところが哀れでもあり、ミソでもあるというわけらしいな」
青木は安心したらしく、酒をたてつづけに呷りだした。
「北川さん。ちょッと」
礼子は放二を廊下へよびだして、
「大庭さんのお宿は、どこ」
きびしくせまる態度である。
「定宿はありますけれど、そこへお泊りとは限りません」
「定宿はどこですか」
「ぼくの一存で申上げるわけにいかないのです。