轻松读懂日语经典作品
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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「私というものを失っては、大庭さんがお気の毒とは思いませんか」
その自信は、使徒の安定を示しているようにも思われた。
五
放二は廊下で礼子に別れて部屋へ戻った。青木はそれと察したらしく、
「あの奥さんは?」
「いまお帰りになりました」
「君をよびだしたのは、お金を貸してくれというのだろう」
「いゝえ、そんな話はありませんでした」
「え? ほんとかい?」
青木は慌てて立ち上って、
「君、すまないが、千円かしてくれ。あの奥さんはお金を持っちゃいないんだ。鎌倉へ帰るぐらいの電車賃はあるらしいが、明日のお小遣いも、生活費だって、持っちゃいないんだから。君、助けてやってくれよ。たのむ」
青木は放二から千円札をうけとると、酔顔をいかめしくこわばらして、足もとをふみしめながら、急ぎ去った。
異様な関係にある夫婦らしいが、前後を通算して、放二は悪い感情をうけなかった。
青木の別れた妻によせるいたわりは、目を覆いたいほど、いたましい。金の泥沼に落ちこめば、誰しも餓鬼であり、憑かれた妄者になるものだ。そのような妄者にとっては、夫婦関係も、愛情も、支離メツレツになるだろう。