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まち

街

宮本 百合子

「女性」1927(昭和2)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,689 字 · 37 页

青空文庫

――仕様がありゃしない、半年も札下げとくの、第一外聞が悪いやね」

「だって書生さんなんかより異人さんの方がよかないの、金廻りがいいそうだもの」

せきは、

「どうして!」

と、顔じゅう顰めて首を振った。

「とてもだよ。出たり入ったりにうめの顔飽きる程見てたって、キャラメル一つ買って来るじゃないからね」

間をおき、更に云った。

「第一、気心が知れやしない」

志津は、

「ほーら、そろそろおばあさんの第一が始まった」と笑った。

「本当だよ、嘘だと思ったら見て御覧、我々なら大抵まあその人の眼つきを見りゃ、腹で何思ってるか位、凡その見当はつくじゃないか。二階の異人さん、こないだも私、どんな気でいるのかさぐってやれと思って、台所へ水汲みに来た時、世間話してやったのさ。喋りながら一生懸命眼を見てやるんだが――困ったねあのときばかりゃ、お前ただ変てこりんに碧いばっかりでさ――本当に――余り碧いんでおしまいにゃ気味が悪くなって引下っちゃった」

「ふふふふ、おかしなおばあさん、二階で嚏してるわよ、今頃」

凝っと二人の話をきいていたうめが、その時、いかにもませた調子で、

「ちょっと! 来ますよ」