轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まち

街

宮本 百合子

「女性」1927(昭和2)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,689 字 · 37 页

青空文庫

と警告した。成程、誰かが階子を一段ずつ念入りに降りて来る跫音がする。志津は、一寸肩をすくめるようにして舌を出す真似をした。

「ふふふふ……」

婆さんも釣込まれて薄笑いしながら、新しい煙草をつめ始めた。うめは、障子の隙間から板敷を覗いている。その後姿を見、志津はやがて、

「あーあ」

小さい欠伸をしながら、

「もう何時?」

と云った。

「日が短い最中だね、四時一寸廻った頃だろう」

うめが、二人の前に顔をさしつけて、

「女の異人さんですよ、よその」

と云った。が、誰も答えず、志津が、立ち上って腰紐を締めなおしながら、

「どう、おばあさんお鮨でもおごろうじゃあないの」

と云った。せきは、上の空で、

「そうさねえ」

と応じながら、熱心に志津の八反の着物や、藤紫の半襟を下から見上げた。

「――その着物、さらだね」

「おばあさんにゃ、十度目でもさらだから始末がいいわ――ね、本当にどうする? 私これからかえったって仕様がないから、冷たくってよかったらお鮨でも食べようじゃないの」

「いつもお前にばっかり散財かけてすまないようだね」

「水臭いの。――じゃ一寸云って来るわよ」

ごたごた、主のない下駄まで並んでいる上り口で、自分の草履をはきながら、志津は珍らしそうに、そこにぬいである女靴を眺めた。