轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うらぎり
裏切り
「新潮 第五一巻第九号」1954(昭和29)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,343 字 · 70 页
隠すに元貴族も元宮様も必要があるものですか。必要なのはゼロやXだけではありませんか。いわんや、わざわざ元貴族のニセモノをつくって、そこにかくまうとはナンセンスにすぎません。
法本は冷血な悪魔です。たくらみだけで生きてる奴です。もっとも、ぼくも同じようなものですし、客商売のぼくらの場合、人殺しでもお客はお客、人を殺して盗んだ金でもお金はお金、よけいなことは考えません。けれども、こと小夜子サンの場合は別で、商売とは別個のぼく個人の問題でもありますから、黙って見ているわけにはいきません。
元貴族のニセモノを仕立てて小夜子サンをかくまうなぞとはトオサンをだましてていよく小夜子サンを誘拐する手段にすぎないということは、日野の奴むろん承知の上で云ってるのです。奴がニヤニヤ笑っているのはトオサンの味方の顔なのか、法本の味方の顔なのか。どっちを裏切るつもりなのか。双方裏切ることだって奴めは至極平気なのです。なぜなら奴はその裏切りが裏切りとして通用しないことを知ってるからです。ただニヤニヤと笑いながら、しかも酒に酔っぱらって、法本がニセの貴族を仕立てて小夜子サンをかくまう計画をもっているよともらしただけでは一応誰を裏切ることにもならないばかりでなく、むしろ双方から味方と思われる可能性の方が多いことも計算に入れているのです