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らしんのにょせん

裸身の女仙

野村 胡堂

「朝日」1932(昭和7)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,437 字 · 29 页

青空文庫

「あッ」

「驚くなお鳥、相手は盗賊として斬り、町役人に引渡したぞ、見度くば見て来るが宜い」

「…………」

「ところで、今度はお前の番だ、どんな成敗をしたものであろう、望を言えッ」

郷太郎はお鳥の身体を突っ放すと、沓脱の上へ、ハタと蹴飛ばしました。

「殿様、お間違いなさいますな、あれは、あの男は、源吉でございます」

お鳥は起直ると、必死と、郷太郎の裾に絡み付きました。

「何? 源吉」

「ハイ、あの軽業一座の源吉が、久し振りで江戸へ帰って、皆んなの代りに逢いに来てくれたので御座います」

「源吉なら、なお悪い、長く一緒に居ただけに、疑念も一としおと言うものだ。それに、あれほど言って置いたでは無いか、源太夫を始め、一座の者と、往き来はならんと」

郷太郎もさすがに予想外のようでしたが、源吉と聞いて怒りは少しも納まったわけではありません。

「可哀そうで御座います、殿様、源吉は何んにも存じません」

「黙れッ」

「…………」

「庭口から忍び込んで女と曝き交して居る者を潔白と言えるか、第一、お前の心掛が悪い」

「ハイ」

「二年越行儀作法を仕込んで居るのに、まだ武家の家風を呑込めぬとは、何んとした白痴だ。