轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
せいこのしじん
西湖の屍人
海野 十三
「新青年」博文館、1932(昭和7)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,487 字 · 39 页
私は、初めてその男の姿をマジマジと観察したのだったが、思ったよりは遙かに、若い男だった。年齢のころは二十四五でもあろうか。だが非常に憔悴していた。皮膚には一滴の血の気もなく下瞼がブクリと膨れて垂れ下り、大きな眼は乾魚のように光を失っていた。
「きみは、おおお面白いことを云う」帆村が口のあたりについている涎らしいものを手の甲で拭い乍ら云うのであった。
「生きているかァ? ウンここにあるのは、きみィの胸ではないか、だッ」
帆村は腰をかがめ、指先を自分の眼の前にチラチラふるわせて云った。
「では、僕の手を握ってください」
「よオし、握った」
帆村はよろけながら、怪青年の手を執った。
「その手は、僕の身体に繋っているでしょうか」
「ばば馬鹿なことを云いたまえ。ついていなくて、どうするものかッ」
「僕が喋るときには、この唇が動いているでしょうか」
「なに、唇が……。パクン、パクンあいたり、しまったりしてるじゃねえか、こいつひとを舐めやがって」
帆村は、気合をかけると、
「ええいッ」
と青年の頭をガーンと、どやしつけた。
青年は痛そうな顔一つしない。
が、彼はたちまち恐怖の色を浮べて喚きだした。