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おやこのあいのかんせい

親子の愛の完成

羽仁 もと子

「思想しつつ生活しつつ 上巻」1918(大正7)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,921 字 · 12 页

青空文庫

しかもその苦しみは、直接にその局に当ろうとする子供自身よりも大きいものである、同じものであると考えたりするのは、まちがっていると思います。

血をわけた親と子でも、すでに二つの身体二つの心にわかれた以上は、子供自身の身体に感ずる苦痛も喜びも、その通りに親が感ずるわけにゆきません。子供が罪を犯したときに、親の顔に泥をぬるといって怒りかなしむのは、いまの多くの親の普通にもつ心持ちです。けれどもその当事者である子供の不名誉と苦痛は、自分のこの苦しみよりも不名誉よりも、どんなに大きいものであるかに心づいて、子供自身の苦痛のために泣いてやることができるのでなければ、子供がほんとうに親の情けを感ずることができないのです。子供がよいことをしたときにも、一番に私たちはそれは自分の日ごろの丹精のせいだという気になることが多いようです。それもやはり子供に同情のうすい自分勝手の考えから出ることです。たった一つのよい行いでも、それが外部に現われるまでには、はたの人の気づかないところで、その当人はいろいろの用意いろいろの努力をしているのです。それはどんなに周囲の人のありがたい導きがあっても、自分が本気にならない以上、何一つできるものでないことは自分自身の経験からよくわかっているのです。