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かいしゃくがくとしゅうじがく

解釈学と修辞学

三木 清

「哲学及び宗教と其歴史(波多野精一先生献呈論文集)」岩波書店、1938(昭和13)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,866 字 · 24 页

青空文庫

しかし彼は、なかんずくパイドロスにおいては、ただ修辞学を非難するにとどまらないで、自分自身、哲学的な根柢に立つ新しい修辞学の綱要を描いている。これによれば、修辞学は一方では弁証論に、他方では心理学に基礎をおくことによって説得の技術としての目的を達することができる。話す人はまず、彼がそれについて話す物に関する真の認識を有しなければならぬ。この認識は弁証論によって得られるのである。修辞学が詭弁を意味すべきでないならば、弁証論は修辞学にとって自己の論拠の発見のために欠くべからざるものである。話す人は次に、聴く人の心理を理解しなければならぬ。彼は人間の心の差別、その性質の相違を知り、これに応じて説得に最も適した言葉を用いるように心掛けねばならぬ。修辞学は聴く人の心を言葉によって一定の方向に導くこと(ψυχαγωγ※α τι※(ギリシア小文字ファイナルSIGMA、1-6-57) δι※(重アクセント付きα、1-11-38) λ※γων)であり、人間心理の把握はその基礎である。かくてプラトンによれば修辞学は論理であると同時に心理であるということができる。かかるものとしてそれは具体的な論理である。